ゲイリー・ロス監督、脚本。2018年。出演サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット。「オーシャンズ11」のリブート版で、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットにあたるのが上の二人です。
美しいオートクチュールドレスのサンドラが見つめる先にはケイトがいます。彼女はジャンプスーツのジッパーを深くおろしました。もう真夜中過ぎなのではないでしょうか。
とてもスマートな女が宝石泥棒の計画を立て、相棒のやはりこちらもとてもスマートな女と、仲間を集め、とてもクールに計画を遂行します。
このお話には、強い敵が出てきません。
「オーシャンズ11」にあった強敵やサスペンスを期待してみるなら不満を持つでしょう。この映画のようなスケール感もありません。
ほぼ8人の女だけの力で事をやり遂げなくてはなりません。おまけに元々は、男たちだけの遊び感覚の物語です。さあ、どーするって話ですよね。
ゲイリー・ロス監督は一作目の「ハンガー・ゲーム」の監督なのでした。わたしはこの一作目の「ハンガー・ゲーム」が大好きです。凛とした頭の良い女の子がヒーローになる物語です。(新しくありませんか?)
わたしはこの監督に何かロバート・アルドリッチ監督と同じ匂いを感じます。
女が置かれた社会状況をとてもよくわかっていて、そして何か倫理的です。(まあ、わたしだけかも)。
( おっと、調べてみるロス監督は「ビッグ」の脚本を手伝ってデビューしたんですね!!「ビッグ」はトムハンクスありきとは言え、だいだいだい好きな映画です!なんと、わたしは、昔からゲイリー・ロスさんに惹かれていたんだ!)
監督は、サンドラ、50過ぎ、ケイトももうすぐ50歳という二人の年寄りを主役に据えました。これは年寄りたちが主役の映画です。
(お陰で、監督が言うところの道化楽の30代半ばのアンハサウェイがキラキラと輝いて見えます。ヴァレンティノのピンクのドレスは彼女に似合っていなかったですけど。)
サンドラの相棒をハサウェイにする手もあったと思うけど、監督は女だけの淡々としたテンポの良い頭脳ゲームにケイトを持ってきました!
サンドラはとても静かな雰囲気で寂しげでさえありました。そこへケイトのクールな力強さが加わり、絶品の二人となりました!
この企画は実現まで時間がかかっています。せめて、2年早く実現していれば、続編を作れたろうなあ、と思います。サンドラはアップがすでにキツくなっています…。
ロケ中、移動するサンドラとケイト。
映画を見ているときはハサウェイのアップが多く、可愛いー!と喜んでいましたけど、見終わってみると、サンドラの静かな佇まいが強く心に残りました。