ビヨンド・ザ・トレック

イアン・トゥルートナー 監督、脚本。2016年。

 

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「なんのこっちゃ!」

と、わたしは思いました。見終わって。

 

このSF映画はいわゆる心理劇で会話劇です。なのに、途中で意味不明のシーンが出現します!

字幕に誤りがあるか、訳文が足りていないか、だと思われます。

 

上の写真、何か異様でしょ?

彼らはSFで言うところの優生人類です。全てにおいて人間より優れています。

で、彼等って、あの昔のイギリスの「サンダーバード」というパペットによく似ています!⬇️ 

 

 サンダーバード

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役者たちは、まるでサンダーバードのパペットのように目を見開き、彼等のユニフォームも浮世離れ感を持っています。

 

ここら辺の ズレた感じ、面白いです。

 

そして、救難に駆けつけた先の宇宙船には一体のアンドロイドと人間が生存していました。

このAIは、なんと(そうした性能を持たないはずが)、人間を愛し、自分の身体に自分で性機能を増設しました…!(まじかぁ)

 

で、残りの乗組員がどうなったかについて優生人類たちは探っていくわけですが、ここで、彼等に異変が生じます。

今までのクールな彼等ではなくなっていくわけです。

 

で、問題はここなんですが、地球から通信が入って「君たちには欠陥がある。遺伝子操作上の問題があって突然変異が起こる。とても危険」らしい。任務遂行に支障をきたすらしい。

 

遭難した宇宙船にあるはずの積荷をあんなに絶対持ち帰れと、何遍も地球から言ってよこしているのに、意味不明だろ!なぜ任務が滞りそうな人材を派遣するの?

 

ここら辺の字幕がしっかりしてないから、ラストの彼女の決断もなんのこっちゃなんだ。

だってさ、地球には他にたくさんの優生人類がいるわけでしょ?彼女たちは選ばれたと言ってるし。

 

  1. 企業の命令に絶対的に盲目的に従う人間とそうでないものたちの対立。
  2. 優生人類と人間の違いとはなんなのか?(優れたスペックを持つことの価値とは何か?)
  3. 優生人類とAIに違いはあるのか?(どちらもハイスペック、しかしAIが感情、意識を持った今、その違いは?)

 

などという面白い問題を孕みながら、なんのこっちゃ?なんのこっちゃ?

で終わるという哀しさ…よ。 

 英語ができれば問題ない、って誰か言った?( ゚д゚)

 

 

2018年 knoriのアカンデミー賞

感想文を書いた映画130本の中からの選出です。 

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抱かれたい男優賞ノミネート 

「ヒア・アフター」マット・デイモン

「ブルーに生まれついて」イーサン・ホーク

「ナイス・ガイズ」ライアン・ゴズリング

僕だけがいない街藤原竜也

 

受賞者…イーサン・ホーク

 

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ちょっと怖い感じで、わたしは好きというほどじゃないけど、どこか陰影のある面影が心に残ります。

好きとか可愛いとか感じが良いとかはマット・デイモンのほうなんですが、今回、彼はあまり印象的な役がなかったです。



抱きしめたい女優賞ノミネート 

ナチュラルウーマン」ダニエラ・ベガ

「ヴァージニア」エル・ファニング

「アナイアレイション」ナタリー・ポートマン

 

受賞者…ナタリー・ポートマン

 

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ダニエル・ベガと迷ったけど、「アナイアレイション」の彼女の柔らかな感じは最高に好きで、何故、こうも惹かれるのかよく分かりません。

 

 

見つめ続けたい監督賞ノミネート

「さらば愛の言葉よ」ジャン=リュック・ゴダール

「トム・アット・ザ・ファーム」グザヴィエ・ドラン

 

受賞者…グザヴィエ・ドラン

 

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グザヴィエ監督は、映画についてよく知っているだけでなく芸術一般についても造詣の深い人だなあと思います。
そういう子供がたとえ子供であっても、映画を撮ればこういう見応えのある作品を作るんだってことを、日本の新人某監督に教えてやりたい!です。

 

 

 

やっぱり好きよ大賞ノミネート

「オートマタ」

「マルホランドドライブ」

 

受賞作品…「オートマタ」

 

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混沌とした味わいが心に深く残ります。それはある意味で、歴史の終わりの哀愁のようなものかもしれない。人類の歴史の終わりというような大きなものが作品から少しづつ溢れて監督はまとめきれなくなったのかもしれないけど、それがわたしを揺さぶりました。 

 

 

暮れ逢い

パトリス・ルコント監督。2014年公開。シュテファン・ツヴァイク原作。

 

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この映画は駄作である…。

ツヴァイク原作の作品だというので見たけど、ふぁーーーーっく!(普通はわたしは、途中で見るのやめるんだけど、我慢して最後まで見たん。オレ、えらい!)

 

仕立て屋の恋」は素晴らしかったのに、ルコントさんはどないしたん?

 

ツヴァイクの小説は読んではいないけどね、容易に想像つくしょお?!

グランド・ブダペスト・ホテル」を見た後なわけで。

戦争が迫っていて、文化的末期症状でデカダンスに陥っていた上流階級の人々。そこが舞台なわけでしょ?でもってそこに貧民出身の頭の良い青年が入っていく。

そこで、自分を取り立ててくれた社長夫人とフォーリンラヴなわけで。おまけに、このツヴァイクという作家は、あの「マリーアントワネット」の作者なわけで、人の心理のあやを彼なりの倫理観で辛辣に彩っていたはずで、モヒトツオマケに、ツヴァイクは、この時代に哀しい郷愁を持っていた。

 

つまり、「グランド・ブダペスト・ホテル」が背景にくっきりと歴史性を現したように、この映画だって、なんらかの歴史性、もしくは社会背景を浮き上がらせなければいけないはず。

 

それがさ、この映画ってのは、単なるオフィスラブなんだよ!しぇーーーっと!

 

日本のTVドラマのオフィスラブのほうがおもしろいつううの…。

 

ま、いいさ。監督は時代背景は恋の引き立て役、くらいにしか考えなかったのかもしんない。

 

この映画にはアラン・リックマンが出ている。もろ、彼だけがこの映画の救い!

⬇️

 

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彼だけが時代を意識していたかの様だし、彼によって、 映画が成立している、ほとんど。

女性も振り向いた顔が雰囲気があって素敵なんだけど、致命的にリチャード・マッデンと合わない。

 

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 マッデンがメキシコに行って、いなくなってからの彼女が艶やかに美しい。ポンパドール風の髪型が似合わなかったのかも。マッデンがいなくなってからの彼女は、下の方で髪をまとめるスタイルで似合っていた。

 

それで、マッデンですよ…。

彼は、恩人の社長の奥さんと恋に落ちるにあたって、なんの逡巡も見せない!非常に現代的な青年である!

 

おまけに、彼は下宿の女中と関係があるんだけど、彼女に対して冷たい。それがまた、超現代的で魅了的なんだ。

女中はとても可愛くて、マッデンとお似合いで、なぜ、女中ではなく、奥さんに惹かれるのか、画面上では理解不能に陥る。

 

マッデン…マッテヨン、君は、ダイコンが好きか?

まね、つぶらな瞳で子犬っぽさは可愛いんだけど。

おいで、おいで、いらっしゃいマッデン。おやつにしましょ。しっぽを振る彼。…そんなかんじ。

 

やっぱもう一言。

二人の恋の駆け引きや揺れ動く心のあや、そういったものが何一つこれっぽちも表現されてはいなかった。 あっぱれ。