黄昏どきの山並み。まだ明るさの残る空にちろちろと星が瞬いていた。
…このラストショットは記憶に残るなぁ。
ビッチな3人のシスターたち。☝️
中世が舞台のこの映画は、現代風にアレンジされ、エロスというよりガッツリ、コメディ。それもすごくカッイイ映画なんだ。
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ジェフ・ベイナ監督、脚本、2017年。原作はボッカッチョ『デカメロン』。
アリソン・ブリー、ジョン・C・ライリー、モリー・シャノン。
中世ヨーロッパの修道院を舞台に、好奇心旺盛なシスターたちの姿をコメディーテイストたっぷりにつづる。−yahoo
わたしは『デカメロン』は読んだことがないし、映画などでお目にかかるエロ、グロ…酒池肉林といったイメージしかないが…ボッカッチョが、この映画を見たら、喜んだんじゃないかなあ。
ボッカッチョが生きた中世は、性に対してがんじがらめで、悪と罪の意識がはびこっていたと記憶している。彼は性に寛容で奔放なギリシャ時代の神話に憧れがあったのかもしれない。おまけに、ペストなどの大流行で人口が激減していたし、教会の腐敗も酷かったのかもしれない。
そういう中で、「愛が最高なんだ」って書く。なんかね、わたしはそういうイメージなんだ。
冒頭から早春の風景が美しい。花盛りの春でも夏でもなく早春の自然を撮るってことにセンスを感じる。中世と修道女の世界である。しかし美しく撮った風景も、すぐに笑劇の舞台となる。
アリソン・ブリーが刺繍をしているショットはフェルメールの絵かと見紛うほど美しく、ため息が出る。が、次の瞬間、刺繍の酷く乱暴で下手くそな裏側が映るのだ。
なんていうかね、すごくカッコイイ。
そうして、まだバージンの若い少女に過ぎないシスターたちのセックスに対する好奇心と、少女特有の性的な大胆さをドタバタコメディで見せながらお話は進む。
そそ、グリグリ目玉のシスターが裸で踊り狂う、フェリーニを思い出すシーンは笑った。他にも可笑しくてしょうがないシーンがいっぱいあった。
まぁ、これだけで終わっても充分に面白いコメディだった思うが、最後が素晴らしかった…。
ジョン・C・ライリーとモリー・シャノンが、中年の司祭と中年のシスターなのだが、二人が石橋で落ち合うシーン。そして山と空のショットが続くのだ。音楽もイイ。
この時、この映画のすべてが、「愛って良いもんだ」という讃歌に包まれていった。