ダニエル・エスピノーサ監督。2017年。出演ジェイク・ギレンホール、ライアン・レイノルズ、レベッカ・ファーガソン、真田広之
「こんなつもりじゃなかったんだ」
僕のつぶやきをよそに、彼女の叫び声が響きわたった。
「ぎゃあああああ!うぎゃあああああ!」
これもう、ギャグでしょ!?
ラストの、(何でもできるはずの)ギレンホールの軽い表情を見た時、そう思っちゃった。
エスピノーサ監督は「デンジャラス・ラン」の監督で、脚本は「デッドプール」のレット・リースとポール・ワーニックという二人組!
そいで、監督は「ゼログラビティ」並のリアリティを求めた演出をやっている。
かつ、ちびっこエイリアンを登場させて、極上のスリラーを誕生させた。
閉じ込められたライアンを見つめるギレンホール
シリアスな役者たちとリアルなセットに、隠れた、ギャグ!(と私は思うよ)
生まれたばかりのエイリアンは、すごく愛らしくて、宇宙生物学者の指先にチョコンと触れたり、手を広げるようにしてクネクネしたり。
で、この学者がドジって赤ちゃんエイリアンは動かなくなってしまう。
彼はどーしたか?「スタートレック・ディープスペースナイン」のオドーが液体だった頃、やっぱり学者に同じことされてものすごくオドーは恨んでた。
それをやる…。
ビビビッビっと、電気ショックをかける。
あーぁ。ねっ?エリアンは無敵の存在になるわけ。
その後の宇宙飛行士たちの対応も、少しずつ、ヘンでドジなんだけど、決してソレはあからさまにならない、トリッキーな演出。
怯えるレベッカ
このチグハグな映画が可もなく不可もなくで終わっているのは、ひとえに、監督のスリラー的演出が冴えているのと、役者たちの存在感。
「ゼログラビティ」で男は女を守った。地球に降り立った女の寂寥感のある表情。
しかし、彼の表情を思い出すと、そこにゼログラビティの影が差し、私は笑ってしまう…。(・・)