春花秋月

このドラマの出だしはこうだ、ふわふわと丸くて、可愛くて、やわらかそうな女の子が、「永遠の愛を見つけたい」と言う。

「愛は、脳内の化学物質による錯覚よ」と、のたまったアメドラのこまっしゃくれた少女を思い出しながら、何となくダラけて見始めた。

ネタバレ注意!

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物語は、女の子と男ふたりのドタバタ三角関係だ。

確かにドタドタ喜劇なんだけど、☝️この男がひとり異彩を放っている。

彼の不機嫌そうな流し目が、ものすごくセクシーなの!

またネ、演出陣が、不思議なほど、彼を、彼の流し目を、執拗に美しく撮ってるんだわ。

 

ただ、物語の展開は、気がつけば、「あ。寝ちまった。。あら、また、寝ちっち。。」という塩梅で、見続けたのは、ひとえに彼を見たいから。

早送り、飛ばしを駆使して、なお、、「あらら、寝てたわ。」つうから、なかなか凄い。。

でもって、、「ええい」とばかりに最後の方を見た。見終わりました「春花秋月」。。

ところがさ、ところがドッコイ、最後の女の子と彼の語らい、もっすごく良かった!

 

ドラマのラストの方、2話分。

死にかけている女の子をまえに、ふたりの男は究極の選択を迫られるんだ。

半生をかけて得た功力(能力)を捨てなければ女の子を救えない。

 

現代風に言えば、ひとりは仕事を選び(たぶん彼は、政治家の妻タイプなあの女性を妻にするだろう)、流し目の彼は、仕事も地位も捨てて、愛を選んだ。

つまり、「永遠の愛」とは、誰かを選択し、決断する事なんだ、とドラマは言っている。

 

この時、流し目の君は、泣くんだわ。。

自分が失おうとしている能力との決別の涙だし、女の子を憐れんでいる涙でもある。

彼の涙は、ちょっと忘れられない。。

 

そしてラスト、回復した女の子は、どこかしら大人の顔をしていた。

女の子は流し目の君に会いに行く。

邪険にされようとも、もう女の子は怯まない、なぜなら、女の子もやはり、選択したのだ。

「もう、あなたのもとを離れない」

 

女の子と流し目の君を演じた役者は、実は演技が上手いんだな、と思った。

だからね、34話だかの物語を、6、7話に縮めたら、最高に粋な劇になったと思う。

ラストのほうは、昔のフランス風で粋な心理劇になってたんだから。