エドワード・ヤン監督、脚本。 1991年台湾映画。236分バージョン(ツタヤレンタル)
まるで「真夏の夜の夢」を草むらに寝転んで見ていたような気分になった映画でした。(この映画は実際の事件を元にした悲劇です)。
記憶にあるのは眩しい光溢れる画。ところが実際は直射日光など当たってはいないんです。たぶん、対比的に真っ暗な闇の画がいっぱいでてきますのでそのせいかもしれません。
アップショットもほとんどなかったような気がします。切り返しもなかったような…、つまり、感情移入ができない作りといっていいかなあ?
ところが、です。この映画の映像には空気の揺らめきがあるんです。計算された映像設計だと思うんですが、普通、その手の画ってなんていうか静的でピシッと隙がない感じがしますよね?それがこの映画の場合、こう…生っぽい。台詞のリズムの変化と画が登場人物の心の動きを伝えてきます。(上手く言えませんが)。
だからなのか、というか…この映画はとてつもない広がり持った映画になっています。
15才の少年たちの暴力や閉塞感、父親の拘束、少女に対する少年の恋心、そういったものを淡々と写していくだけですが、外省人と本省人の確執(二・二八事件)を思い起こさせるし、占領時代の日本の影も色濃いです。そういう奥行きや広がりが画像から伝わってきます。
つまり早い話が、いろんな人が書いてるようにこの映画は大傑作なんですね。
でも、わたしは好きな映画じゃないです。
第1、少年たちの抗争や暴力が嫌。そして、少年の恋心が切羽詰まっていく、それもわたしは理解できないし、少女が自分のせいで二人のリーダーが争い、一人は死んだというのに、平気でまた男を誘惑している。これも理解できないです。
だから、大きな木の下で少年と少女が座っている美しいシーンが、もう、わたしには少年が追い込まれていく予感がありありとして、ほんと嫌いです。