「フランシス・ハ」窓を開けないと生きていけない

ノア・バームバック監督。グレタ・ガーウィング、バームバック共同脚本。

 グレタ・ガーウィング主演。2012年。

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 このキャラの魅力をどう言えばイイのだろう。

 

彼女、フランシスは、バレエ団の実習生27歳だ。

ルームシェアをしていた親友のソフィが出ていってからというもの、フランシスの人生は、坂道を転がるような失望の連続となる。

 

ところが、だ…彼女はもちろん落ち込みもするけど、簡単には引き下がらないんだ。

 

冒頭の画面の彼女は、鈍重そうで、心も、体も!あらあ、好きな感じじゃないなあ、と思ったのはおっきな間違いだった!

彼女は、走る、走る、飛び跳ねて踊る! 

 

 

 親友のソフィとフランシス。⬇︎

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 友人達が大人への階段を登り始める中、フランシスは自分の夢を追いかける。

つまり、友人達はキャリアを諦める事になったとしても、良い男と結婚しようとする。金融マン、弁護士、といった男たちと。

 

まだ自立を果たしていない女が自立しようとするとき、その最大の障害は、恋愛、結婚、出産だ。

(もちろん、それが障害にならない女もいるし、そうした経験を通して大人になる女もいるだろう)。

 

 愚直に自分の夢に縋っているフランシスは、ともかく逃げない!挫折を味わっても、なんとかなると思っている。

 フランシスのバイタリティーは、いつも心を開いている事だ。

彼女は、自分の未来を信じている。信じるということは、心を開くということであり、心を開くから、対象を深く理解できる。

 その後のことだ、客観的になるのは。批判するも良し、受け入れるも良しだ。

 

彼女は、心が折れても、心を閉ざさない。内に籠らない。彼女の窓は、外に向かって開けられている。

 

ラストは気持ちが良い。彼女をちゃんと見ていた人が、手を差し伸べる。

 

 この映画は、全編、シロクロ。ああ、白黒は美しい!音楽も最高。いろんな名作映画へのオマージュも一杯あるようだ。

窓を背景にした画面が特に美しかった。

 

フランシスは郵便受け用に名札を書いている。

名札をさし込もうとしたら長かった 。ラストネームのとこで折りたたんで、差し込んだ。

「FRANCES  HA」。