ショーン・ベーカー監督。2012年作。 「フロリダ・プロジェクト」の監督。
この監督の作品は2つしか見ていないけど、どこかリアルな現実をベタッと映し出してしまうところがあって、わたしは思わず、ウゲェーと言っちまう。
だから、たぶん私はベーカー監督が好きではない。
この映画は、ポルノ女優と老婆の交流を描いたもの。 ⬇️
さわやかお嬢さんと孤独な老人のやり取りを屈託なく淡々と写している。
21歳のジェーンと85歳のメリッサだ。
ジェーン役はドリー・ヘミングウェイ。マリエル・ヘミングウェイの娘なので、あのヘミングウェイは曽祖父。
で、このドリー・ヘミングウェイがあまりにもあまりにも可愛い!
冒頭から、映画の色彩がサンド色がかったイエローが入った色で、ドリーがかざす手にはサーモンオレンジのマニキュア。メチャクチャ、彼女に似合うし、映像のトーン的にも綺麗なのよー。
そして、モデル出身というか(この映画以降、モデル業に専念してるみたい)、脚がながーい!!
親友役の女優、ステラ・メイブは「マジシャンズ」に出ている人なんだけど、彼女は普通にスタイル良いのに、ドリーといると、短足に見える!(わーぉ)。
で、ホワホワして見てると、突然、現実に引き戻される。(オレ、アホ。)
そう、ドリーの役はポルノ女優。彼女の仕事が出てくる。
実際には、セックスシーンは代役がやっているらしい。が、ここら辺で、この映画はキャストをミスっている失敗作なんだなあ、と思う。
まあ、映画を見ていると、ポルノ女優もきちんと会社組織的なものに守られていたし、そこから外れていくことは、もう落ちるしかないようなニュアンスも、親友役の女優が演じている。
まあ、つくづく、わたしは、性産業について思いを巡らせる結果になっちまったわけで。
女は性の対象ぶつだし、男も性の対象ぶつだ。
性の仕事は人類最古の仕事だと言われているようだし、無くならない、とも言われる。
社会はその時代時代で、性の仕事をする女たちが犯罪や暴力の被害に合わぬように、人権が守られるように、といった工夫をしてきた。と思う。
けれど、TVなどを見ても、最近の性産業で働く女性は、若くさわやかなお嬢さん、という風情。
つまり、この仕事は、30歳くらいが頭打ちで(どんどん若いさわやかお嬢さんが入ってくる)、後は、場末に流れたり危険な場所へ行くことになるのじゃないかと思う。
大金を手にできて、また、いつでも止めることができる、そんな軽い気持ちがこの仕事に向かわせるのかな、と考える。
この映画でも、ドリーはポルノ撮影の準備中、スタッフみんなから大事にされ、チヤホヤされる。
麻薬と同じだなあ、と思う。「綺麗だね」という声がけは、ドリーに快感をもたらす。けれど、自己実現とは似ても似つかぬこの麻薬は、実は少しづつ、彼女の心を荒らしていくだろう。
社会が移り変わってきても、やはり性産業の労働者は、差別されるだろう。
彼女たちはそうした社会的抑圧を軽々と飛び越えてしまう。