「ヒューマンズ」とルソー

 「ヒューマンズ」シーズン2の後半はアレゴリーに満ちています。

 

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 ⬆️ニスカ(シンス=ロボット)はやっぱ最強でした!

 

ヘスターが出るようになって、人間との対立が鮮明化し、がぜん物語が面白くなりました。

異質な者との共存と闘いの物語です。

 

 

 

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 へスター(シンス)

 

へスターは平気で人間を殺します。

彼女は劣悪な環境で働いていました。その彼女が意識を持った時、不安に怯える彼女と接触したのがレオ(シンスと人間のハーフ)です。

レオには夢がありました。シンスの解放と平和なシンスの暮らしです。

 

 へスターは言ってみれば、その夢に心酔してしまったのです。それが彼女の目標となりました。ならば、いまここにいるこの追手(人間の斥候)を殺すべきである、シンスの目標を阻止するこの追手は死ぬべきである、彼女はそう考えます。

 

レオはへスターを上手く翻意させることができません。へスターの怒りを解くことができません。

 

アーレントがルソーを叩かざるを得なかった理由が身にしみます…。

 

わたし自身もそう思ってしまうのですが、人間は根本的には自由で平等な存在であると。その時、劣悪な環境に居たならば、当然、怒りもわくでしょう。

 

しかし、元々、不平等で自由じゃない、と考えたならどうでしょう?

 

へスターに宿るのは、シンスの目的のために何かをしなければいけない、という意志かもしれません。

自由や平等を築いていくのだという意志、努力や工夫や、簡単に暴力に結びつきかねない怒りではなく…。

 

 (このドラマのへスターはピュアにも孤独にも描かれていませんが、もし…そういう描き方をされていたらわたしはすっごくへスターに同情してただろうなあ、と思います…。)

 

 

 

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 カレンとピート(シンスと人間)

 

カレン(シンス)とピート(人間)という中年のカップルは愛し合ってしまいます。

カレンは人間に歩み寄ろうとし、ピートはシンスに歩み寄ります。

二人に焦点が当たる7話目は切ない…です。

 

 

  

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 オディ(シンス)

 

オディはへスターと正反対の存在です。意識を持つ前のへスターは、彼の持ち主であった博士に我が子のように愛されていました。

 

博士が死んだ後、壊された彼を天才少女のマディが直し、意識も持たせます。

しかしオディは生きる意味がわかりません。亡き博士が喜んだであろう人の役に立つ事をしようとします。

 

寄る辺ない彼がさまよう姿は、哀れで…。悲しかったです。