ジム・シェリダン監督。セバスチャン・バリー(原作)。2016年作。
も、号泣。
ゴーント神父が恐ろしく、コイツの出る映画は2度と見るもんか!と思って調べたら、「ダイバージェント」に出てた感じの良い若者だった…。いやあ…役者ってすごい。
この物語の時代背景をちょっと説明。
ローズ(ルーニー・マーラー)が暮らしていた北アイルランドは英国領(たぶん)。第二次大戦が始まって、彼女は田舎の叔母のところに行く。そこは、小さな村で全住民がカソリック。英国とアイルランドの確執がガッツリ息づいている土地柄で、ローズはプロテスタント。もう1人、村からハブられているマイケル(ジャック・レイナー)もプロテスタントでイギリス寄りだからと非難されている。
最初の異変はゴーント神父によってもたらされる。
「男の目を見るな!」「ここで泳ぐな!」
ローズはビビらず対応してたけど、わたしはビビったのなんのって。もうむっちゃ危険な男でしょ!
彼女は、何を考えているのか分からない顔してるけど、彼女が強い女性であることはありありと写し出される。
そうした若く美しいローズに村の男たちが言い寄ってくる。
ローズは彼女を巡る男たちとの関係性に翻弄されていくのだ。
彼女のそばにマイケルがいてくれたなら悲劇は起こらなかったと思うが、夢見る若者である彼は、イギリス軍に加わり、結局、彼女を置き去りにする事になってしまう。
そして、(わたしが危険な男だっつた)ゴーント神父 が妄想の果てに、ローズを精神病院送りにする!修道女が叔母さんを説得する。(ローズは色情狂と言われる)。
フーコーの『異常者たち』という本で、同性愛者とか、浪費グセのある男とか、精神病院に異常者であるとして収容されたという話を読んだことがあるけど、時代は違っているけど、うわぁ、こういうことだったのか、と戦慄。
閉鎖的な村で、マイケルとの関係が彼女にもたらしもの、神父の妄想が彼女にもたらしたもの、それが、精神病院に50年間、閉じ込めらるということ。
まあ、ともかくこの監督はローズ中心にグルグルと人との関係性の束を描きあげている。ラストは観客に対する癒しでしょうねえ。