クイーンズ・ギャンビット

 「彼女の敵は自分自身だ」「自己破壊的で居場所のない世界で生きている」と、Netflix特典映像でスコット監督は語った。

 

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Netflix2020年 、全7話、スコット・フランク監督、脚本

ウォルター・テヴィス原作

アニャ・テイラー・ジョイ主演

 

天才とその狂気については、昔から小説やドラマに取り上げられてきた。

スコットは、狂気を、苦痛や苦悩と捉える。

彼は、それらをビルドゥングスロマン的な、チェスの天才少女が成長していく物語に仕立て直した。天才の狂気を一般化したのだ。

少女が抱える痛みは、奇跡的な棋譜を残していくたびに、自分との戦いとして写し出される。

わたしのような凡人さえ、仕事をしたり、ただ生活しているだけでも、犠牲や痛みを抱えたりするもんよ。

 

 スコットは著名な脚本家で、今回は監督、企画制作も兼ねている。スタッフも一流どころを揃えたようだ。

ストーリーテリングの見せ方が、分かりやすくて、上手くて、役者たちも魅力的で引き込まれる。古典映画、ホークスとかその辺の人達と、何か共通項を感じてしまう。

 ともかく面白い!

 

 洗練されていくベス👇

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 チェスの天才少女、ベス役を、アニャ・テイラー・ジョイが演じている。☝️

ベスは四六時中、チェスのことを考えている。

ある時、チェス仲間が言った、「お前のチェスは、精神分裂症になった天才棋士に似ている」と。

確かにベスは先人達のような孤独を抱えているけれど、決してひとりではなかった。

ベスには仲間や友人、大親友のような養母が寄り添っていた。

 

ベスにチェスを教えたのは、養護院の用務員だったお爺さん。いつも暗い地下でチェスを楽しんでいた。

ベスがいつか純粋にチェスを楽しむ時が来たら、苦痛というミューズから解放されるのだろうか?

 

「チェスは美しい。完璧にコントロールできる世界があるから」