2冊の本

 映画「帰ってきたヒトラー」を見て、わたしは分かっていないなあ、と思ったので本を読みました。

 

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あの映画に描かれていた世相は日本にも共通するのではないか?何故、人は全体主義に呑み込まれるのか?等々の疑問を持ったなら、下の本たちを読んだ方がいいです!感想を書きます。
 

 

 今現在、必要なことに限って、著者はアーレントから抽出して、丁寧に、やさしくやさしく説明していきます。読み終わってジーンとしてしまいました。

 わたしは「ツチ族フツ族」のTVドキュメンタリーを見て以来、全く自分を信じられずにいました。アイヒマンの事もそうです。「いやだ、間違っている」とわたしは言えるのか?自分の理性を信じれません…。

著者は言います、「言葉ではなく、共感や同情、動物的な素朴さのようなもの、生き生きとしたものをー人間性ーの共通基盤とみなし、それによって人々を連帯させようとする政治手法は、かえってー自由ーの空間を掘り崩してしまう」と。

ポピュリズム』の著者もこれを「ロマン主義」という言葉で説明して、手法は違っても二人の著者は同じ事を言っています。

二人とも、全体主義に絡め取られない、という決め手はないが、知的な文化を大事にすることが非常に大事であり有効なんだと。

多様な意見を良く聞き、理解しようとする事こと。「それっておかしくね?」そういうことが言えるゆるい空気が必要であると、そう思いました、わたし。 

この本は感動します。

 

 

 

 こちらの本も、今現在に焦点をあてて、噛み砕いて砕いて説明しておられます。

のんびり読み始めたんですが、三章までは、項目が変わるごとにカツカツと復習が入って、おらー!ちゃんと勉強せんかい!と煽られます。まあ、実はここら辺で、私の「途方にくれた」なけなしの知識というより情報は砕かれているんですが、(まあ、やっぱり、私は気がついていなかったんですよ)…。

四章に入ると、目から鱗状態です。読みやすいです。

上の本が考えさせる本なら、こちらの本は、知識がみっしりと詰まっています。

 

それで…四章は私にとってショックでした。

フランスのイスラム教女性のスカーフの話ですが、私は、これがすごく嫌いで。だって、スカーフを被ろうが被らなかろうがどーでもイイことをイスラム教は強制するんですよ。わたしはその強制がすごく嫌で…。オシャレはどーすんね?!と普通、思うっしょ!

しかし、この本を読むと、それはわたしの宗教差別意識なんですねえ…。ショックです。

 

そして、わたしは生まれて初めて、自分はどういう政治が好きなのか、考えました。

たぶんわたしは、リベラルがすっごく好きです。個人としてだけ考えると絶対的に好きですね。けれど、社会のことを考えると、例えそれが遠いアフリカの国を助けることであっても、税金が重くなって苦しくなっても、助け合うべきだと考えます。

たぶん、わたしは中道ですか?(それを途方にくれた不安な個人という、つう話かもしれません)。

 

あ、あとね、橋下徹氏について、著者は余程腹に据えかねていたらしく、物凄くたくさん出てきます。もう、筆が滑って止まらない感じで、(わたしは、橋下氏のデマゴーグぶりに全く気がついていなかったので、なんも言えないけど)…半分くらいの量で留めた方が…効果的なんじゃ…ないのかなあ、と思いました。