がってんだいクロニクル

私が飽きっぽいって?まさかね、と思っていましたよ。

 

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 上の子が一歳3ヶ月頃の写真です。片方の靴が脱げているのにどんどこ進みます。

彼が身につけているものは私の手作りです。

 

フェイクレザーの黒い生地を買ってきて、子供が動き回るので、クリンチをかけて組み敷いて、びくりするほど短い脚の長さを計って、パンツをこしらえました。セーターなどは手編みです。

 

手編みで、編み込み模様や模様編みってパターンなので簡単なんですが、例えば、猫の絵が編み込まれているとか、えーっ、って思うでしょ?

これは方眼紙に絵柄を描きます。方眼紙のヒトマスが一個の編目に当たるわけです。

 

さっそく、前衛的な猫の絵を描きましたよ。いやー、かっちょいいと思ったんですが、実は、これは様式的に描かれた絵の方が見栄えがいいんですねー。

どうもわたしは、才能に欠けていました。猫が編み込まれた茶色のセーターを着たチビに近所の女性が話しかけていました。「ブタさんかな?」。

 

 

手作り熱の発端は、スカートがマーメイド風に少しだけすぼんだワンピースが着たかったのに売ってなかったんですねぇ。

だから、作ろうと思いました。

まず、ブラウスの縫い目を解いて、分解してみました。

なるほどぉ、ですよ。

前身頃、後ろ身頃、袖、襟、というパーツに分かれているのです。

それらを縫い合わせれば洋服は出来るんです。

 

わたしは、明るい紺色のワンピースを作りました。とても似合う、って言われました。こういう時はやたら素直なわたしです。

 

 

しかし、忙しくなると、つまり、仕事に復帰すると、ピタリとそこら辺の欲求が消えるんですよねぇ。

 

 保育園や小学校では、ナプキンに名札を縫いつけろだの、小袋を作れだの、エプロンやスカーフを作れだの、いろいろごっちゃあと準備やら注文やらがあったんです。今はどうか知りませんが。

わたしは、すべて、市販のもを買って済ませました。名前も、直に油性マジックで書き入れました。

すったらことにチットでも時間を取られてなるものかという鬼の勢いです。

 

 

そそ、写真にも凝りました。

ともかく始めての我が子を撮りまくっていました。

 

そうした手作りや写真熱がなくなった頃に、下の子が生まれたわけで、気の毒なことに、彼の写真は、ほんのちょっとしかありません。

下の子が小学校の低学年の時言われました。

「どうして僕の写真がないの?」

「いや、あるでしょ。」と数枚の写真を示しましたが、上の子の写真は、冊子になってどどーんとたっくさんあるわけです。

確か、その数少ない写真も、コリは不公平だなと思って、撮るんだけど、飽き飽きしてて続かなかったんですねぇ。

 

あるとき、下の子が発表会のお芝居でトラになるから、お面と、それっぽい服を用意することになりました。

 写真の一件で負い目を感じさせられていたわたしは、きちんと作りましたよ。

トラの模様の生地なんてすぐ手に入ると思ったのに、なかったから、黄色い生地にトラの模様を描きました。

生地に直接、描いて、染付もできるという絵の具があるんです。

トラの写真とにらめっこして、作りました。

全身をすっぽり包んで、シッポをつけて、頭はフードにして、耳と鼻と目をつけてあります。

 

下の子はそれがとても気に入って、発表会の後も来ている始末です。

それじゃあ、パジャマにしよう、ということになり、手足を直して、頭を切ろうとしたら、絶対ダメだ、と言って聞きません。

彼はそれをとてもとても大事にしました。

それを見るたび、わたしの胸は少しばかりチクチクしたのでした。