目覚めた彼女の頬を一筋の涙がつたいました。
それはディストピア以外の何ものでもない、ある朝でした。
ゾンビ物でも、ホラーでもない、スリラー的なSFでした。とっても楽しみました。
お話の題材になっているのはギリシャ神話のパンドーラーです。
パンドーラーが好奇心に負けて箱を開けてしまい、ありとあらゆる災いが箱から飛びだし、エルピスだけは箱に残った、という有名な、しかしわたしは好きじゃない、あの話です。
コーム・マッカーシー監督、マイク・ケアリー脚本、原作、2016年。
ジェマ・アータートン、グレン・ローズ、セニア・ナニュア。
パンデミックにより人類の大半がウイルスに感染した近未来を舞台に、感染者ながら知能を保ち続ける少女の物語を描いたSFスリラー。yahoo映画
冒頭、ひときわ利発な少女に目を奪われてしまいます。なんと少女は監禁され個室を出るときも拘束されるのです。しかし、少女は明るく健気でさえあります。
たくさんの子供たちがいますが少女と同じ境遇にあります。子供達は、毎日、授業を受けており、教師のヘレンはパンドーラーのお話を少しずつ読んで聞かせていました。ある日、ヘレンは子供たちに物語を書かせました。少女の物語は、「ヘレンを助けた少女がいつまでもヘレンと一緒にいた」というものでした。少女が自分の物語を発表しているとき、 ヘレンは泣いてしまいます。
ヘレンの少女に対する愛情や悲しみがじわりと伝わってくるシーンです。
けれど最後にわたしは思い知らされました。少女にとってヘレンは文字通り箱の中のエルピス、希望だったのです。
ヘレンはきょうもガラス越しに授業をします。
はじめから終わりまで少女にずうっと惹きつけれるのですが、見終わってみると、ヘレンが可哀想でなりません…。何もかも分かったうえで、受け入れるしかなかったのかもしれません。
( ;−;)