公園の休憩所と冬になると作る生チョコ。
幼なじみの夢をみた。
わたしはのぶちゃんの家に向かっていた。橋を渡れば赤い三角屋根の家が見えてくる。そこにのぶちゃんは住んでいる。
しかし、歩けど歩けど橋に近づかない。気がつけば、あたりは墨をひろげたような漆黒の闇で橋も道も川面も見えなくなっていた。
ウロウロとさまよいながら、見当をつけた方角に歩いていると、前方に人がいる。ぼうっとその人だけが明るく浮かび上がっている。
ようやっと近づいてみると、それはのぶちゃんだった。彼女はたいそう身体の具合が悪いと聞いていたから、「身体は大丈夫なの?」と聞いた。
「もう、治ったのよ。」とのぶちゃんはずるそうな笑顔を見せた。お洒落で綺麗な瞳ののぶちゃんは、眼つきがキツくなり人が変わったようになっている。
のぶちゃんにしては野暮ったい赤いスカートもはっきり見えるが、それ以外は墨色が果てしなく広がっている。
「引っ越してあすこに住んでいるの」と彼女が指差す方を見れば、闇の中に戸口が開いて中にオレンジ色の光があった。
オレンジ色の光は暖かく、子供たちと楽しくやっているようだと思うが不安でしょうがない。何とか確かめようと焦っていると、のぶちゃんがわたしに帰れ、と言う。
その時わたしは、腹の底に固まっている悲しみに気がついた。それが這い上がってきた。
歩いていると明るくなってきた。川がチラチラ光って流れている。
のぶちゃんが何か言っている。「知っているでしょう?私は居ないよ。」
ああ、そうだった、とわたしは 気づいた。